「映えスポット」を並べない理由

写真は旅の領収書であって、旅そのものではありません。

あの「有名な一枚」は撮れますか、と聞かれることがあります。答えはたいてい、撮れます。ただその前に伺いたいのです。欲しいのはあの写真ですか、それとも、あれを撮るあの朝ですか。

領収書と本文

映えスポットの問題は人の多さではなく、旅を確認リストに変えてしまうことです。写真は領収書。来た証明にはなる。でも本文は、写真に写らない部分にあります——山道の湿気、夕食前の空腹、聞き取れないのに意味がわかった方言のひとこと。

私たちの行程にも美しい場所は入っています。よく写る場所も。違いはひとつだけ。本文を先に守り、領収書はついでに。